オルカライブ終了のお知らせ
2000年にスタートして25年にわたって存続してきたオルカライブが10月末で終了することになりました。終了にあたりオルカラボのポール・スポング博士からのメッセージを紹介します(後半に日本語訳があります)。
オルカライブはカナダ・ジョンストン海峡に毎年夏にやってくる野生のオルカ(シャチ)の生態を全世界にライブ中継するプロジェクトで、スポング博士の「ネイチャーネットワーク構想」がその背景にあります。インターネットを使って自然に害を与えずにリアルな自然体験や学びができる実験的なプロジェクトとして、全世界のオーディエンスがプロジェクトの意義を理解し、楽しんでくれていました。
実現したのはNTTデータによるスポンサードがあったからこそです。NTTデータは、ネイチャーネットワーク構想に基づいたライブ拠点を複数箇所にするため、2001年から2006年までは鹿児島県の沖永良部島から沖永良部高校の教員や生徒たちと共に「ウミガメライブ」というプロジェクトも実施していました。
オルカライブは閉じることになりましたが、オルカのライブ映像は(夏のシーズンだけですが)オルカラボのウェブサイトから今も視聴することできます。よろしければブックマークしてカナダの海の悠々たる自然をお楽しみください。
https://orcalab.org
2000年頃の技術でこのプロジェクトを形にするためには並々ならぬ苦労がありましたが、多くの方の力で実現することができました。スポンサードが途絶えたあとも、プロジェクトの意義を理解して下さったメンバーによりボランタリーに運営が続いてきました。あらためて関わってくださった全てのみなさんに感謝いたします!(上田壮一)
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Announcing the end of ww.orca-live.net
Hello everyone,
On October 31st, after 25 great years, the experiment in bringing people closer to Nature without disturbing her that we called Orca-live, will come to an end with the closing of our web site www.orca-live.net.
When we began in 2000 it was in the early days of the Internet. Thanks to the generosity of Japan’s NTT Data corporation, we were able to set up huge satellite dishes at our Lab on Hanson Island and at our “outcamp” at West Cracroft Point. From them, we uploaded audio and video data to a satellite, which downloaded to Calgary, and from there via the Internet to JStream in Tokyo, which made what we were hearing and seeing available to people around the world.
The first live video image we live streamed was a mere 2.5cm square on a computer screen. Despite it’s size, the immediate reaction was enormous. It was watched by the crew on a Canadian Coastguard vessel and quickly by people with access to the Internet around the world. Soon, we had an audience in 71 countries. A Tokyo engineer called it “the oasis of my days”.
NTT Data continued to fully fund our project for 6 years. When their support ended, we were unable to stream live video. Fortunately, JStream generously donated live audio streaming which continued. We provided commentary about what was happening, and our audience was able to post comments in both English and Japanese. A community of nature lovers had been created, and it continued.
Perhaps inspired by what we were doing, other live streaming Nature projects came into being. Chief among them was www.explore.org, a philanthropic project of the Annenberg Foundation, with which we now partner with in live streaming multiple cameras in high definition video. We also live stream our hydrophones 24/7/365 on our OrcaLab web site. So the work we began in 2000 continued, and evolved. Without question, this concept would not have been realized without the initial help from Japan.
Altogether, Orca-Live has had a profound impact on our work at OrcaLab. It has given us fulfillment of the philosophy under which we operate – D0 NO HARM – and so much more.
We will ever be grateful to NTT Data and the Members of its Public Relations Department for the initial support that launched our experiment. We are also deeply grateful to Soichi Ueda, who convinced NTT Data to share our vision.
Many people and companies have contributed their time, talents and energy to the success of Orca-live. While the following is a list, it does not describe the technical and other contributions that kept Orca-live running year after year. Collectively, it was an enormous effort, and deeply appreciated by us and people around the world:
NTT Data
JStream – Chiaki Kobayashi, Satoru Miyama, Takahumi Mitsui
NEUX – Atsushi Miura, Osamu Yamamoto
SPACEPORT – Soichi Ueda
AXIS – Mitsuhiro Miyazaki, Yusuke Okamura, Senya Nemoto
Surface and Architecture – Yusuke Okamura
KARHU – Shun Kuriyama
Quicklink
Seiji Inagaki
Tomoko Mitsuya
Momookoi Kobayashi
Finally, to you, our audience who have shared this journey with us, THANK YOU!!
Paul Spong and Helena Symonds,
Co-directors of OrcaLab
October 20, 2025
ww.orca-live.netの終了のお知らせ
皆様へ
10月31日をもって、25年にわたる素晴らしい活動に幕を閉じます。自然を乱すことなく人々と自然を近づける実験「Orca-live」は、当ウェブサイトwww.orca-live.netの閉鎖をもって終了いたします。
2000年に活動を始めた当時は、インターネットの黎明期でした。 NTTデータ株式会社のご厚意により、ハンソン島の研究所とウェスト・クラクロフト・ポイントの「アウトキャンプ」に巨大な衛星アンテナを設置することができました。そこから音声・映像データを衛星経由でカルガリーに送信し、さらにインターネット経由で東京のJStreamへ配信。世界中の人々が私たちの耳にした音、目にした映像をリアルタイムで視聴できる仕組みを構築したのです。
最初にライブ配信した映像は、コンピューター画面上でわずか2.5cm四方の小さな画像でした。そのサイズにもかかわらず、即座に大きな反響を呼びました。カナダ沿岸警備隊の船上の乗組員が視聴し、すぐにインターネットにアクセスできる世界中の人々も視聴しました。間もなく視聴者は71カ国に広がりました。東京のエンジニアはこれを「日々のオアシス」と呼びました。
NTTデータは6年間にわたりプロジェクトを全面支援しました。支援終了後はライブ映像配信が不可能となりましたが、幸いJStreamがライブ音声配信を無償提供し継続。私たちは状況解説を行い、視聴者は英語と日本語でコメントを投稿できました。こうして自然愛好家のコミュニティが形成され、今も続いています。
私たちの取り組みに触発されたのか、他の自然ライブ配信プロジェクトも誕生しました。 中でも代表的なのが、アネンバーグ財団の慈善プロジェクトであるwww.explore.orgです。現在では同財団と提携し、複数のカメラによる高精細映像のライブ配信を実現しています。またオルカラボ公式サイトでは、ハイドロフォンによる音声を24時間365日ライブ配信中です。こうして2000年に始めた取り組みは継続し、進化を遂げてきました。疑いなく、この構想は日本からの初期支援がなければ実現しなかったでしょう。
オルカライブはオルカラボの研究活動に計り知れない影響を与えました。私たちの活動理念である「害を与えない」の実現を可能にし、それ以上の成果をもたらしたのです。
実験開始の礎を築いてくださったNTTデータおよび広報部各位には、末永く感謝申し上げます。 また、NTTデータに私たちのビジョンを共有するよう説得してくださった上田壮一氏にも深く感謝いたします。
オルカライブの成功には、多くの人々と企業が時間、才能、エネルギーを捧げてくれました。以下はそのリストですが、オルカライブを年々継続させるための技術的・その他の貢献をすべて網羅しているわけではありません。オルカライブの成功のために、多くの人々や企業が時間、才能、エネルギーを提供してくれました。以下はそのリストですが、オルカ・ライブを毎年運営し続けた技術的、その他の貢献については、これだけでは説明しきれません。その努力は多大なものであり、私たちや世界中の人々から深く感謝されています:
NTTデータ 広報部の皆様
JStream 小林千秋、三山 悟、三井貴文
NEUX 三浦 敦、山本 修
SPACEPORT 上田壮一
AXIS 宮崎光弘、岡村祐介、根本仙哉
Surface and Architecture 岡村祐介
KARHU 栗山俊一郎
Quicklink
稲垣誠司
三屋智子
小林桃子
最後に、この旅を共に歩んでくださった皆様へ、心から感謝申し上げます!!
ポール・スポングとヘレナ・シモンズ
OrcaLab共同ディレクター
2025年10月20日




